日本毒性学会学術年会
第51回日本毒性学会学術年会
セッションID: S30-5
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シンポジウム30: 個人差を反映した医薬品評価の現状と今後の展望
副作用メカニズムに基づく個人差予測"
*諫田 泰成魏 范研西田 基宏
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抄録

医薬品の年齢差や性差など個人差を理解することは、医薬品の適正使用を考える上で重要である。個人差を理解するツールとしてヒトiPS細胞の活用が期待されており、患者iPS細胞を用いて医薬品のresponderとnon-responderを予測できることなどが報告されている。

これまで我々は大規模なG蛋白質共役型受容体スクリーニングとヒトiPS細胞を用いたアッセイ法を用いて、COVID-19治療薬レムデシビルがウロテンシンII受容体の活性化を介して心毒性をもたらすことを見出した。次に、ヒトにおけるレムデシビル-ウロテンシンII受容体シグナルの個人差を理解するために、日本人14,000人の大規模なゲノムデータベースを解析した。その結果、ウロテンシンII受容体には2,000以上のバリアントが存在し、1アミノ酸置換を伴うミスセンス変異が 110 種類存在することが分かった。さらに、ウロテンシン-II受容体遺伝子の変異はレムデシビルの感受性に関係しており、ウロテンシンII受容体を介した心毒性に関わる可能性が示唆された。このようなアプローチにより、医薬品の副作用予測が可能になると考えられる。

今後、患者iPS細胞を用いた細胞バンクを整備にすることにより、個人差研究がさらに加速することが期待される。

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