日本毒性学会学術年会
第51回日本毒性学会学術年会
セッションID: S35-3
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シンポジウム35: 先進的in vitro model を用いた初期毒性評価戦略
安全性評価におけるMicrophysiological systemの現実と理想のギャップ
*原田 幸祐篠澤 忠紘
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抄録

初期毒性評価では様々なin vitro試験系が利用されており、医薬品開発において安全性懸念による開発リスクを低減するうえで必要不可欠な存在となっている(Loiodice et al., 2019)。しかし、従来のin vitro試験系では単一の細胞を平面培養して評価するケースが多いため、複数の細胞種が寄与する毒性をin vitro試験系で再現することは難かった。近年、Organ on ChipやOrganoidなど先進的in vitro modelであるMicrophysiological system(MPS)が開発されており、従来のin vitro試験系では難しかった毒性評価が可能になることが期待された。弊社でも安全性評価においてMPSを使用する例が増えており、肝毒性や神経毒性などの様々な領域でMPSを用いた安全性評価法の確立が試みられている。本発表では、探索毒性領域におけるOrgan-on-a-ChipやOrganoidなどのMPSの利用状況について社内の事例を紹介するとともに、血小板の凝集活性評価を例にとり、MPSを用いることのメリットについて議論する。一方、MPSは探索毒性分野において2020年時点で5年以内にゲームチェンジャーとなることが期待されていたが (Pognan et al., 2023)、現状では初期毒性評価におけるMPSの利用は未だ限定されており、期待通りの成果を発揮できているとは言い難い。本発表では、MPSに求める理想像と現実のギャップに焦点を当て、初期毒性評価においてMPSの利用が限定されている要因について議論する。

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