主催: 日本毒性学会
会議名: 第51回日本毒性学会学術年会
開催日: 2024/07/03 - 2024/07/05
我々はヒトに用いる薬物の作用とそのメカニズムの全体像は理解できていない。それは医薬品開発中に様々な受容体への親和性を包括的に測定することが不可能であり、ヒトにおける有効性や安全性調査も十分とは言えないからである。実際、ある薬物がヒトに対して知られていない有害作用あるいは有益な作用を発揮することは決して稀ではない。この講演では実際の臨床データ、特に有害事象発生例の解析を通じて薬剤の予期せぬ有益な効果を特定し、薬剤の再評価と新たな創薬標的の発見を目指した以下の成果を紹介する。
(1)抗不整脈薬アミオダロンによる間質性肺疾患に対するトロンビン阻害薬ダビガトランの有用性とそのメカニズム
(2)DPP4阻害性糖尿病治療薬が惹起する水疱性天疱瘡に対するリシノプリルの有用性とそのメカニズム
(3)フルオロキノロン抗菌薬による腱障害に対するデキサメタゾンの有用性とそのメカニズム
(4)ドパミンD2受容体刺激薬が高める強迫性障害リスクを抑制するプロトンポンプ阻害薬の神経メカニズム