東海公衆衛生雑誌
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東海地方4県における医療・介護需給状況の地域間比較
上田 規江竹内 浩視尾島 俊之
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2022 年 10 巻 1 号 p. 150-159

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抄録

目的 今後の少子高齢化の進展に伴う人口構造の変化を見据え, 地域医療構想の達成に向けた医療・介護提供体制の整備は喫緊の課題である。本研究は, 医療・介護需給状況の地域間比較を通じて, 東海地方4県の特徴や課題を明らかにすることを目的とする。

方法 本研究の対象とした東海地方4県を説明変数とし, 医療・介護需給にかかわる一人当たり医師数指数, 一人当たり看護師数指数 (以上, 2017年), 一人当たり急性期医療密度指数, 一人当たり慢性期医療密度指数 (以上, 2018年), 介護充足度指数 (2015・2040年) の6指標を目的変数として, 一元配置分散分析を行った。また, 東海地方4県の二次医療圏を人口および人口密度を考慮して分類し, 同様の検定を行った。データは, 2015年国勢調査人口等基本集計, 日本の地域別将来推計人口平成30年 (2018年) 推計, 医療施設 (動態) 調査, 日本医師会地域医療情報システム等から引用した。

結果 東海地方4県の医師数指数0.8 (標準偏差 (以下 SD) : 0.19) および看護師数指数0.87 (SD : 0.13) は全国平均を下回り, 2015年介護充足度指数 (岐阜県-7.1, 静岡県4.6, 愛知県-16.0, 三重県-2.3 : p=0.025) および2040年介護充足度指数 (岐阜県-31.3, 静岡県-21.3, 愛知県-71.5, 三重県-20.4 : p=0,007) では地域差が認められた。東海地方4県の二次医療圏は, 大都市型医療圏4圏域, 地方都市型医療圏20圏域, 過疎地域型医療圏4圏域に分類され, 地方都市型医療圏では看護師数指数, 急性期医療密度指数, 慢性期医療密度指数, 2015年および2040年介護充足度指数に地域差が認められた。過疎地域型二次医療圏では医師数指数が全圏域で各県の平均を下回り, その他の指標は圏域ごとに異なる特徴がみられた。

結論 東海地方4県では, 医師と看護師が少なく, その確保が共通の課題であった。一方, 医療・介護提供体制には地域差を認めたことから, 各県・二次医療圏の特徴を踏まえつつ, 住民の受療行動や生活様式の変化等を加味した対策を講じる必要性が示唆された。

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© 2022 東海公衆衛生学会
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