東海公衆衛生雑誌
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男性健康推進員の活動に関する保健師の認識と支援の実態
二村 純子坂本 真理子
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2022 年 10 巻 1 号 p. 142-149

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抄録

目的 自治体において健康づくり推進員組織の育成・支援を行っている保健師が, 男性推進員の活動をどのように認識し, 支援しているかを明らかにすることを目的とした。

方法 政令指定都市を除く東海4県157自治体の健康づくり関連部署において, 推進員組織を担当する保健師の代表者各1名を対象に, 無記名自記式質問紙調査を実施した。男性推進員数や年代別人数に加えて, 男性推進員の活動に関する保健師の認識と支援について, 有無と内容を選択式または自由記載にて把握した。

結果 90自治体から回答が得られ, 推進員組織を有する自治体は51か所であり, そのうち男性推進員が存在したのは38か所であった。各自治体の推進員数の合計は5,627名で, 男性推進員は822名 (14.6%) であった。男性推進員が存在する自治体の保健師が持つ男性推進員の活動への認識に関して, 「ある」に該当した割合は, 「男性推進員の強みの認識」63.2%, 「男性推進員と女性推進員の活動への取り組み方の違いの認識」31.6%, 「男性推進員がいることによる活動への影響の認識」81.6%であった。「男性推進員の強み」として, 牽引力や論理的な思考, 行動力, 責任感の強さのほか, 自治体とのつながりが挙げられた。また, 男性推進員の活動への支援に関して「ある」に該当した割合は, 「男性推進員を支援するうえでの困難感」26.3%, 「男性推進員がいるグループへの配慮や工夫」13.2%, 「男性推進員を募るための行動」23.7%であった。

結論 保健師は男性推進員を, 活動を牽引する力や自治会とのつながり等の強みをもって, 推進員活動を拡充させる存在として認識していた。多様化する健康課題の解決に向けて, 職域から地域に移行する男性たちに, 健康づくり分野の活動の意義や成果, 活動の魅力を効果的に示し, 健康づくりの担い手を確保していく必要がある。

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