2022 年 10 巻 1 号 p. 160-165
目的 X市で実施されたアンケート調査データを解析し, 二次予防および三次予防事業の対象者の多いA地区の地域特性を定量的に明らかにし, 前期高齢者の主観的健康感に影響する因子を検討することを目的とした。
方法 X市の前期高齢者を対象に2021年2~3月に健康と暮らしに関するアンケート調査が行われた。この匿名データを用い, X市内で健康課題の大きなA地区での種々の地域特性, さらに男女別の状況について検討した。また, X市全体での男女による健康状態等の差を検討した。さらに, 主観的健康感に関連する因子について重回帰分析により検討した。
結果 分析対象者は2,677名であった。A地区はその他の9区と比較して, 主観的健康感, 運動機会・機能, ソーシャルキャピタルが有意に低かった。また, A地区の女性は特に主観的健康感が低い人が多く, 運動機会・機能が低いこと, A地区の男性は特に他人と食事する機会は多く, ボランティア参加者が少ない結果であった。
結論 A地区では特に主観的健康感の低い人が多く, ソーシャルキャピタルが低いこと, 主に女性の運動機会が少ないことと関連する可能性が示唆された。