東海公衆衛生雑誌
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医療・福祉における高齢者の相談窓口に関する地域の知名度格差の検討
小島 香岡田 栄作諸冨 伸夫斉藤 雅茂尾島 俊之
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2024 年 11 巻 2 号 p. 152-158

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抄録

目的 高齢者の要支援・要介護認定者数の割合は、約19.2%にものぼる。要支援・要介護者は、医療・福祉サービスを利用している者が多く、要介護・要支援者本人と家族にとって、医療・福祉サービスに関する情報収集は必須である。しかし、高齢者がそれらの医療・福祉に関する情報にアクセスしようとする際の情報を得る先に関する報告は少ない。そこで、高齢者の医療・福祉に関する情報について、知っている地域の窓口サービスの知名度について調査した。

方法 日本老年学的評価研究が2019年に日本の25都道府県64市町村において郵送法で実施した、要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者を対象にした自記式質問紙調査から、25,908人を本研究の分析対象者とした。研究デザインは横断研究とした。医療・福祉情報に関する項目として、地域の窓口サービスを用いた。さらに情報へのアクセスとして外出頻度や友人との交流に関する変数を用いた。それらを都市度別に分析を行った。

結果 医療・福祉情報の情報収集先として、「知っている地域の窓口サービス」に関する問いで半数が知っていると回答していたのは、都市では保健所、市区町村の担当部署、郊外では、保健所、市区町村の担当部署、地域の民生委員、農村では、地域の民生委員、保健所、市区町村の担当部署、社会福祉協議会であった。知っている地域の窓口サービスの数では3か所以上の割合は、都市50.3%、郊外55.2%、農村59.8%、知っている場所が【1つもない】の回答は都市8.6%、郊外6.1%、農村5.2%であった友人と会う頻度、友人の家に行く、老人クラブ・健康体操やサロンなどの介護予防のための通いの場においては、都市や郊外と比較して農村で多かった。

結論 知っている地域の窓口サービスについて、都市や郊外と比べて農村では福祉協議会・福祉事務所・地域包括支援センター・民生委員の知名度が高かった。これらの環境を有効に活用することで、農村地域の高齢者においても医療や福祉の情報を得られやすい環境を整えられる可能性が示唆された。

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