東海公衆衛生雑誌
Online ISSN : 2434-0421
Print ISSN : 2187-736X
診断群分類包括評価(DPC)データに基づく急性期入院医療における診療科別将来患者数の推計
―静岡県二次医療圏別の検討―
山田 友世竹内 浩視尾島 俊之
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 11 巻 2 号 p. 159-168

詳細
抄録

目的 将来の医療需要は,今後の人口急減と高齢化の進行により,大きな変化が予想される。静岡県と二次医療圏における診療科別将来推計急性期入院患者数を算出し,それぞれの将来医療需要について検討する。

方法 2019年のDPCデータを用いて,診療科・男女・年齢4階級別(0-15歳,16-64歳,65-74歳,75歳以上)受療率を算出した。それらを静岡県の将来推計人口に当てはめて,2025年から2045年までの5年毎に,全県と二次医療圏別の急性期入院医療における診療科別将来推計患者数を算出した。

結果 全県の診療科別推計急性期入院患者数は消化器内科が最多で,続いて循環器内科,呼吸器内科の順であった。全診療科で2025年もしくは2030年に推計患者数がピークとなり,2035年以降は減少した。二次医療圏別の検討では,賀茂と熱海伊東で2025年以降,全診療科の推計患者数が減少した。駿東田方,富士,静岡,志太榛原では2025年もしくは2030年にピークとなり,その後減少した。中東遠でもほぼ同様の傾向であったが,ピークの遅い診療科を認め,呼吸器内科と総合診療科は2035年にピークとなった。西部では,診療科毎のピークが2025年,2030年,2040年に分散し,循環器内科,呼吸器内科,総合診療科の3診療科は,2045年まで増加傾向が続いた。

結論 二次医療圏毎に診療科別将来推計患者数の推移は異なり,今後も急性期医療需要の高まりが予想される診療科を含む医療圏と,急性期から慢性期へ医療需要の変化が予想される医療圏を認めた。今回の結果は,静岡県における急性期入院医療需要の将来予測を明らかにし,今後の医療政策の策定に有用な報告と考えられた。

著者関連情報
© 2024 東海公衆衛生学会
前の記事 次の記事
feedback
Top