東海公衆衛生雑誌
Online ISSN : 2434-0421
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製造業従業員のやせとうつの関連について
―やせの労働者のメンタルヘルス―
犬飼 勢津子豊田 将之榊原 久孝
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キーワード: やせ, うつ, 不眠, BMI, 横断的研究
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2026 年 13 巻 2 号 p. 127-135

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抄録

目的 本研究では,職域における労働者のやせとうつの関連について検討した。

方法 A県B市にある製造業C社に在籍する従業員2,923名のうち,「眠りと健康」に関する社員研修に参加した374名を対象に無記名自記式質問紙調査を実施した。参加者374名のうち,316名 (84.5%) が研究への参加に同意した。うつとの関連が指摘されている,悪性新生物,心筋梗塞,脳梗塞の既往を持つ場合や欠損値がある参加者36名を除いた280名 (88.6%) を分析対象とした。調査項目は基本属性,生活習慣,うつ,アテネ不眠尺度日本語版,睡眠状態とした。うつは日本語版二質問法を使用して判定した。質問紙に記載された身長と体重から体格指数 (Body Mass Index,以下BMI) を算出し,日本肥満学会判定基準を用いてやせ,普通,肥満の3群に分け,基本属性,既往歴,生活習慣,うつ,不眠の有無,睡眠時間について単純集計を行った。また,うつ及び不眠と基本属性,BMI,既往歴,生活習慣,睡眠時間についてロバスト分散を用いた修正版ポアソン回帰分析 (Modified Poisson Regression,以下修正ポアソン回帰分析) を行い,関連が強い項目を検討した。

結果 基本属性では,やせの割合は6.4%,うつは20.7%であった。修正ポアソン回帰分析において,やせとうつは有意に関連しており,やせのうつとの相対リスク (Relative Risk,以下RR) は普通と比較して4.0 (95%信頼区間 (Confidence Interval,以下CI)=2.5-6.3,p<0.001) であった。また,やせと不眠の関連についても検討を行い,やせと不眠のRRは2.2 (95%CI=1.5-3.3,p<0.001) と,有意な関連が認められた。

結論 これらの結果より,やせの者はうつを持つ可能性が高いと考えられる。同時に,やせの者は不眠も併せ持つことが多いことも示された。以上のことから,やせの労働者では,メンタルヘルスの不調のリスクを見落とさないように注意する必要があることが示唆された。

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