東海公衆衛生雑誌
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精神科入院患者における低栄養の特徴に関する観察研究
津端 奈緒美生田 純子加藤 美緒大谷 隆浩西山 毅
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2026 年 13 巻 2 号 p. 117-126

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抄録

目的 本研究では,精神疾患を有する精神科入院患者を対象に,低栄養該当群と非該当群との比較を行い低栄養の特徴を明らかにすることを目的とした。

方法 2024年6月〜8月にA病院へ入院していた患者237名のうち,データの欠損がない181名を対象とした。データは診療録や入院時もしくは定期的な栄養スクリーニング・アセスメントから取得した。65歳未満にはMUST,65歳以上にはMNA-SFを用いた栄養スクリーニングを実施し,栄養リスクが認められた患者にはGLIM基準を用いて低栄養の診断を行った。対象者を低栄養該当群と非該当群に分類し,年齢,疾患,日常生活自立度,入院期間,喫食率,食形態,嚥下状態,精神症状などの要因について比較検討を行った。

結果 対象者のうち27名(14.9%)が低栄養に該当した。疾患別では,統合失調症に比べて抑うつ症群および双極性障害関連症群における抑うつエピソードと認知症で,低栄養該当者の割合が有意に高かった(p<0.05)。低栄養該当者においては,過去3〜6か月間の体重減少率が5%以上の者,喫食率50%以下が2週間以上継続している者,食欲不振,希死念慮,不安感がある者の割合が高かった。また,1年未満の短期入院患者においても低栄養の割合が高かった。統合失調症では日常生活自立度の低下,抑うつ症群および双極性障害関連症群における抑うつエピソードでは精神症状に起因する食事摂取量の減少との関連がみられた。65歳未満では抑うつ症群および双極性障害関連症群における抑うつエピソードが,65歳以上では認知症に伴う摂食機能低下が低栄養と関連しており,年齢層によって低栄養の要因が異なることが示唆された。

結論 精神疾患を有する精神科入院患者では,疾患の種類や症状,日常生活自立度,入院期間,食事摂取量など,さまざまな要因が低栄養に関与していることが示唆された。低栄養の早期発見と介入には,精神症状の把握だけでなく,食事状況や日常生活自立度を含む多面的な評価が重要である。

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