2026 年 13 巻 2 号 p. 173-180
目的 精神疾患を抱える親と同居する子ども(Children of parents with mental illness: 以下COPMI)は,社会的孤立,貧困,自身の精神的健康問題など,多様な困難に直面するリスクが指摘されている。本研究の目的は,精神保健医療福祉領域のソーシャルワーカーによるCOPMI支援に関する知見を文献レビューに基づき整理し,今後の理論的・実践的課題を明らかにすることである。
方法 文献レビューを以下の通り実施した。海外文献についてはPubMed,CINAHL,MEDLINE,Psychology and Behavioral Sciences Collection,日本語文献についてはCiNiiをデータベースとして用い,それぞれ「social work」「mental health」「child of impaired parents」,「精神疾患のある親」「精神障害のある親」を検索語とし,COPMI支援のテーマの抽出・整理を行った。
結果 7件の論文が選定され,COPMI支援に関与するソーシャルワーカーに関する記述はあったが,ソーシャルワークの実践や理論を中心に議論している研究は少なかった。COPMI支援全般における主要テーマとして,「子どもに焦点を当てた支援」「家族単位の支援」「知識」「ツール・体制」「連携」の5つが抽出され,ソーシャルワークの基本原理である「人と環境の相互作用」と関連する可能性が示唆された。
結論 COPMI支援において,ソーシャルワークの実践や理論が十分に検討されていない現状が明らかになった。ソーシャルワークがCOPMI支援に有効であることを踏まえ,今後は,ソーシャルワーカーの実践を実証的に分析し,理論と実践の統合を目指した研究を進めることが求められる。