2015 年 3 巻 1 号 p. 60-66
目的 自治体の危機管理担当部署に所属している保健師の危機管理システムの運用における参画実態を明らかにすることを目的とした。
方法 危機管理担当部署に所属する保健師4名に, 危機管理担当の一員として,現在行っている活動について,半構成的面接調査をおこなった。質的帰納的方法を用いて,語りを,保健師の参画実態に焦点化し,分類整理した。倫理的配慮として,聖隷クリストファー大学倫理委員会の承認を得た内容を遵守した。
結果 保健師4名の経験年数は19年~29年,危機管理担当部署の従事年数は6か月~7年であった。抽出されたコアカテゴリーはⅰ.【住民の健康危機問題を分析し優先順位をつける】ⅱ.【保健師が蓄積した地域住民の健康生活情報を危機管理対応に活かす】ⅲ.【公衆衛生看護の知識を危機管理対応に活かす】ⅳ.【公衆衛生看護の立場から住民の減災対策を自治体や関連する組織に提言する】ⅴ.【地域住民と保健師との信頼関係を深め,お互いの行動を理解する】ⅵ.【保健師の行政知識を活かして行政組織や地域関係機関と職務関係の人脈をつくる】の6つの概念が導き出され,構造化された。
結論 危機管理担当部署に所属している保健師の危機管理システムにおける参画実態として,保健師は地域住民の身近な存在として,日頃の公衆衛生看護活動や公衆衛生の知識を活用して被災住民の健康危機問題を解決する役割を果たしていること。行政組織や地域関係機関との関係性を広げて人脈をつくることで,公衆衛生の立場から自治体や関連する組織に危機管理活動の提言を行い,総合的な減災対策の立案や実行に繋げていることが明らかになった。これらの参画実態から,有事の減災対策を確立していくことのできる,保健師の技能を習得していくためには,保健師基礎教育・現任教育が重要であることが示唆された。