2016 年 4 巻 1 号 p. 120-123
目的 地域住民を対象として食べる速度と体型の関連検討する。
方法 平成26年10月に静岡県湖西市で行われた「平成26年度生活習慣についてのアンケート調査」を解析対象とした。無作為抽出された2,750人(20~74歳)の地域住民にアンケートを郵送で配布し,1,462人(回答率53.2%)の回答を得た。体型(痩せ対普通体重,肥満対普通体重)を目的変数,食べる速度(遅い,普通(基準),速い)を説明変数としたロジスティック回帰分析でオッズ比を算出した。
結果 男性において,食べる速度が「速い」の「肥満」に対するオッズ比(95%信頼区間)は1.60(1.10-2.33)であった。女性でも同様の,やや強い関連が認められた(2.68(1.81-3.99))。このような関連は,年代さらには栄養バランスと運動日数を調整しても男女とも認められた(多変量調整モデルのオッズ比が男性:1.65(1.11-2.47),女性:3.11(2.04-4.74))。一方,食べる速度が「遅い」の「痩せ」に対する関連は女性のみで認められ,オッズ比は2.26(1.37-3.68)であった。年代や栄養バランス,運動日数を調整すると統計学的に有意ではないが,同様の関連が示唆された。しかし男性では0.94(0.26-2.62)とオッズ比が1に近く,統計学的にも有意ではなかった。また,調整しても同様の関連が示唆された。
結論 男女ともに,食べる速度が「速い」と「肥満」には正の関連が認められ,食べる速度が「遅い」と「痩せ」には女性でのみ正の関連が認められた。早食いに注意することが肥満予防の一助となる可能性がある。