東海公衆衛生雑誌
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高齢化が進行した地域の通所介護サービスの利用に関する分析
過疎地域での通所介護サービス調査結果の検討
杉井 たつ子
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2017 年 5 巻 1 号 p. 144-150

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抄録

目的 地域で生活する高齢者の通所介護サービスに関するニーズと利用の実態を把握し,利用に影響する要因を分析する。

方法 過疎地域のA町を対象地域に選定した。高齢者を対象とした質問紙による通所介護サービスの利用に関する意向調査と,施設を対象とした通所介護サービス施設の利用状況に関する聞き取り調査を実施した。両者の比較をとおして,高齢者の通所介護サービスの利用に影響する要因を分析した。

結果 通所介護サービスの利用に関する意向について高齢者人口(2013.1現在)の5.5%に相当する地域在住高齢者187人から回答を得た。利用条件は,移動手段の確保が最も多く,通所可能な地域は町内と合併前の旧町内が多かった。

 通所介護サービスの利用者は町内4施設合計197人であり,女性が多く,後期高齢者が全利用者の92.9%を占めた。高齢者人口で見た利用率は5.8%であった。

 利用者の99.0%が送迎サービスを利用し,施設までの片道所要時間は平均10.4分であった。利用回数は,週3-4日が49.2%を占め,週4日以上利用した者の世帯は,単身世帯以外の利用者が有意に多かった。

結論 通所介護サービスの利用者は移動時間が少ないほど多い傾向があり,地域在住高齢者の通所介護サービスの利用に関する意向と合致していた。また,ニーズが高いと予想される単身高齢者の利用が,その他世帯よりも低い状況であることが明らかとなった。

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© 2017 東海公衆衛生学会
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