東海公衆衛生雑誌
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高齢者認知症による食行動関連障害と骨格筋量の関連
-横断的検討-
小島 真由美川瀨 文哉立花 詠子塚原 丘美
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2019 年 7 巻 1 号 p. 85-94

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抄録

目的 認知症高齢者の栄養ケアに必要な情報を蓄積するために,骨格筋量と認知症,認知症による食行動関連障害と骨格筋量および認知症重症度との関連について検討した。

方法 特別養護老人ホームの入居者292名を対象として横断調査を行った。認知症の重症度の評価は認知機能検査(MMSE)を用い,認知症による食行動関連障害の12項目についての有無を調査した。骨格筋の評価はInBody S-10を用いて四肢骨格筋量を測定し,骨格筋指数(SMI)を算出した。

結果 対象者のSMIを3分位に分けてMMSEとの関連を検討したところ,SMIの高グループのMMSEの平均値は9.5点(95%CI: 7.8-11.3),中グループは10.1点(95%CI: 8.2-12.1),低グループは6.8点(95%CI: 4.6-9.0)(p=0.031)と,3群間で有意差があり低グループは低かった。認知症の重症度が高いMMSE≦10点を目的変数として,ロジスティック回帰分析を用いて検討したところ,女性で,SMIが中グループおよび高グループは低グループに比べて,MMSE≦10点のリスクが有意に低く(それぞれ,OR: 0.47, 95% CI: 0.23-0.94およびOR: 0.49, 95% CI: 0.24-0.98),SMIが高いとMMSE≦10点であるリスクが低くなる傾向がみられた。MMSE≦10点になると「食具使用困難」,「集中力の欠如」,「食事の溜め込み」,「むせ」,「姿勢の保持が困難」,「認識の欠如」,「傾眠傾向」の食行動関連障害の出現頻度が高くなり,さらにSMIを3分位に分けて食行動関連障害との関連を検討したところ,SMIの低グループでは「食事の溜め込み」,「姿勢の保持が困難」の出現頻度が高かった。

結論 認知症の重症度と骨格筋量は関連があり,認知症による食行動関連障害の「食事の溜め込み」と「姿勢の保持が困難」の出現は栄養管理における重要な指標である。

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© 2019 東海公衆衛生学会
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