東海公衆衛生雑誌
Online ISSN : 2434-0421
Print ISSN : 2187-736X
介護予防・日常生活支援総合事業が利用者の日常生活に与える変化
鈴木 岸子玉腰 浩司佐久間 清美
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 7 巻 1 号 p. 95-100

詳細
抄録

目的 介護予防・日常生活支援総合事業(以下,「総合事業」)を利用している高齢を対象に,総合事業への参加が日常生活に与える変化を明らかにすることを目的に調査した。

方法 対象者はN市内にある総合事業の利用者に対して,質問紙調査を実施した。質問紙は120名に配布し回収できた99名を対象とした。対象者の性別,年齢等の属性,健康状態,介護度,日常生活動作,生活習慣,日常生活上の変化などを把握した。

結果 対象者99名の特性は,性別,男性14名(14.1%)女性85名(85.9%)だった。平均年齢80.2±7.0歳(男78.3±8.7歳,女80.5±6.8歳),介護認定等の有無(複数回答)では,無と答えた人が55名(55.6%)だった。総合事業を利用したことによる生活上の変化があったのは60名(60.6%)だった。具体的な変化の中で,ネガティブな変化を訴える人は少なかった。性別,独居,自発的な参加,他者の勧めによる参加との関連を見るためにχ2検定をしたところ,性別や自発的な参加においては,関連は認められなかった。しかし,他者の勧めによる参加群では,「よく人と話すようになった」(p=0.03),「運動することが増えた」(p=0.01),「健康を意識するようになった」(p=0.02)の3つの割合が高かった。独居群では,「食事に気を配るようになった」(p=0.04)の割合が高かった。

結論 本調査からは,総合事業に参加した結果日常生活に何らかの変化が見られた人は約6割あった。そのうち,他者に勧められて参加した人と独居の人に全般的に生活意欲が高まる変化が見られた。本結果からは,総合事業への参加は,利用者の日常生活の質に良好な変化をもたらしていた。

著者関連情報
© 2019 東海公衆衛生学会
前の記事 次の記事
feedback
Top