2009 年 11 巻 4 号 p. 002-009
本研究では,通勤者へのインセンティブ供与によるオフピーク通勤促進可能性を明らかにするために,乗車ポイント,アクセス費用割引,専用ラウンジ,車内混雑緩和の4つのインセンティブ案に対する通勤時刻の転換意向を尋ねる表明選好(SP)調査を実施した.分析の結果,ポイント額など,各インセンティブにおける転換を喚起するための条件は早める時間に依存しないこと,転換意向の割合は早める時間に対して弾性値が一定ではなく,弾性値の変化にはピーク時間帯との関連があることなどを示した.また,通勤行動の習慣性の強さが示され,通勤時間帯の習慣を転換させるためには,着席保証やポイントの還元の効果がより見込めることを示した.