2009 年 12 巻 1 号 p. 036-044
本稿は,抜本的な職場交通の変容を目指すには,制度の改変を目指す「組織的プログラム」の展開が重要であるとの認識の下,京都市南区久世地域の企業とともに取組んだ「面談形式」の通勤手段変容プログラムに至る背景,そのコミュニケーションの概要と効果を検証した.その結果,被面談者との「会話」により2割以上に意識の変化が見られ,約1割の通勤行動に変容が見られた.一方で,会話を通じて明らかとなった「行動を変えない人々」の理由から,心理的リアクタンスにより配慮した「個人的プログラム」の質的改善と同時に,通勤交通行動の変容をより容易にする通勤環境の実現に向けた「組織的プログラム」の検討の必要性が示された.