運輸政策研究
Online ISSN : 2433-7366
Print ISSN : 1344-3348
12 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
研究
  • -生活環境への認知的な適応に着目した導出手法-
    谷本 圭志, 森山 昌幸
    2009 年 12 巻 1 号 p. 002-010
    発行日: 2009/04/21
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー

    従来の公共交通のサービス水準を維持することが困難になる中,とりわけ地方・過疎地域の多くの自治体にとって,公共交通のミニマム水準の設定が一つの関心となっている.しかしながら,それを導出するための手法が十分に開発されていない状況にある.そこで本研究では,所与の公共交通サービス水準のもとでの生活環境に人々が認知的に適応できるか否かという観点からミニマム水準の参照値を導出する手法を検討する.その際,理論的な基礎を生活の質および社会指標研究に求めるとともに,いくつかの自治体を対象に実証的に検討する.

  • -1985~2004年経年動向分析-
    寧 亜東, 外岡 豊
    2009 年 12 巻 1 号 p. 011-020
    発行日: 2009/04/21
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー

    本研究では,中国交通年鑑統計データを基礎とした貨物輸送と地域間旅客輸送のエネルギー消費実態推計と,都市部パーソントリップ調査結果を用いた都市内旅客交通のエネルギー消費実態推計をあわせて行うことにより,中国における全交通運輸部門エネルギー消費量を算出するとともに,貨物輸送,地域間旅客輸送,都市内旅客交通について,それぞれの交通機関別・燃料種類別のエネルギー消費構造の変化動向を解析し,1985年から2004年までの経年的な動向を解析した.中国交通運輸部門のエネルギー消費量は1985年の919PJから2004年には3559PJの3.87倍と大きく増加している.貨物輸送,地域間旅客輸送と都市内旅客交通のエネルギー消費量はそれぞれ3.37倍,5.50倍,7.42倍と増大している.

  • ―DEAの選好投票技法を用いた韓国におけるケーススタディー―
    洪 錫晋, 金 兌奎
    2009 年 12 巻 1 号 p. 021-028
    発行日: 2009/04/21
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー

    韓国において今までの交通政策は,経済成長の達成というより大きな政策目標の達成のための一部分として計画・実行されてきたことがあり,主に交通インフラの供給に重点が置かれてきた.しかし,1990年代後半まで年平均6%の経済成長率,年平均12%の自動車保有率の上昇が続いたことにより,インフラの需要と供給におけるアンバランスが生じている.それゆえ,今後は,国の競争力強化及び発展に寄与できるような革新的な交通政策を樹立する必要がある.この研究は,交通分野に従事する専門家を対象に行われたインタビュー及びアンケート調査を基に,DEAの選好投票手法を用いて,今後導入すべき交通政策の優先順位を導出している.分析の結果,総合交通体系の構築,公共交通の統合サービス体系の構築,財源調達及び投資体系の合理化などが高く評価され,交通弱者の移動権確保や交通施設の民営化推進などは相対的に低く評価されていることが示されている.

報告
  • 塚田 幸広, 長澤 光太郎
    2009 年 12 巻 1 号 p. 029-035
    発行日: 2009/04/21
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー

    道路政策の分野では有料道路料金割引施策やスマートICなど,全国的な社会実験が多く行われており,各社会実験の事例ではそれぞれ地域住民等の参加を得つつ,地域の実情に応じて施策の内容や方法に工夫が加えられるなど,PDCAサイクルで事業が改善されている.学会でも,これらの社会実験から得られた知見に基づいた様々な研究事例が報告され始めた.本報告では,有料道路料金割引の社会実験を一つの例として,その普及の経緯を概観し,分析事例を紹介する.その上で,①社会実験の特徴と成立要件,②時間管理手段としての社会実験の特徴,③社会実験が社会基盤の政策マネジメントに果たす役割,の3点について考察を加えた.

  • 宮川 愛由, 村尾 俊道, 萩原 剛, 小西 章仁, 藤井 聡
    2009 年 12 巻 1 号 p. 036-044
    発行日: 2009/04/21
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー

    本稿は,抜本的な職場交通の変容を目指すには,制度の改変を目指す「組織的プログラム」の展開が重要であるとの認識の下,京都市南区久世地域の企業とともに取組んだ「面談形式」の通勤手段変容プログラムに至る背景,そのコミュニケーションの概要と効果を検証した.その結果,被面談者との「会話」により2割以上に意識の変化が見られ,約1割の通勤行動に変容が見られた.一方で,会話を通じて明らかとなった「行動を変えない人々」の理由から,心理的リアクタンスにより配慮した「個人的プログラム」の質的改善と同時に,通勤交通行動の変容をより容易にする通勤環境の実現に向けた「組織的プログラム」の検討の必要性が示された.

  • 赤倉 康寛, 二田 義規, 渡部 富博
    2009 年 12 巻 1 号 p. 045-055
    発行日: 2009/04/21
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー

    我が国の港湾において,個々のコンテナ船がどれだけのコンテナを積み卸すのか-この寄港一回当たりの積卸量(TEU)は,寄港船の船型(TEU Capacity)と共に,国際海上コンテナターミナルの計画策定において,航路成立や寄港頻度の検討に不可欠である.しかし,航路別積卸量等を,データに基づいて算定した例が見当たらない.この点を踏まえ,本論文は,我が国港湾の外貿航路別の積卸量,これを寄港船の船型で無次元化した積卸率を,五大港の統計及び全国輸出入コンテナ貨物流動調査の2つの統計データを用いて算定したものである.さらに,それらの算定結果を基に,航路別積卸率について,需要予測における考え方をとりまとめた.

feedback
Top