国際海運からのCO2排出量は全世界の約3%であるが,将来は途上国を中心とした経済成長に伴い増加が続くため,IMO(国際海事機関)でグローバル規制の審議が進んでいる.本稿では,海運が有する高い効率改善ポテンシャルを活かすための詳細制度設計,特に個船の設計時燃費効率に関する規制値の設定方法について分析する.経済的規制については,世界経済の動脈である海運の発展を妨げることなく,効果を最大化するための「個船実績評価と課金の一部還付」による燃料油課金制度の合理性について論じる.また,国際海運は,途上国を中心とした世界全体の経済成長により輸送量が定まることをふまえ,排出総量ではなく個船の効率改善を制度設計上の目標とする必要性を論じる.