2010 年 13 巻 1 号 p. 014-021
本稿では,航空機の残存率曲線を用いて今後の退役機の動向,特に騒音や温室効果ガスの排出に対する規制が機材保有に与える影響と,退役機から発生する複合材料の増加について考察した.国際化による輸送需要の増加,環境面からの規制の強化,レアメタルの確保,複合材料のリサイクルの必要性を受け,増加する退役機のリサイクルに関して組織化・効率化を目指す動きが生じている.我が国の航空機部品メーカーは多面的に生産段階で大きな役割を果たしているが,日本企業のこれらの組織への参画はない.今後の動向を考えると退役機の処理への参画が期待される.