2011 年 14 巻 3 号 p. 009-015
本研究では,都府県及び北海道4ゾーンの50ゾーン間の純流動等のデータを利用して,先行研究で指摘される輸送密度の経済性を考慮した枠組みの下で国内航空旅客市場について需給曲線を同時推定した.推定の結果,多くの先行研究で指摘/考慮される供給側の輸送密度の経済性についてはその存在が統計的に有意な結果として確認され,航空旅客市場を分析する上で当該経済性を考慮することの重要性が示される.限界費用関数で考慮される羽田や伊丹/関空,新千歳など主要空港ダミー変数の係数は正の場合が多く,主要空港は地方管理空港に比べて相対的に空港使用料の高さや混雑などが反映された結果である可能性が指摘される.