2011 年 14 巻 3 号 p. 016-023
ロシア連邦サハ共和国では,冬季に河川や湖沼が凍結し,その上を冬道路として利用している.しかしサハ共和国は地球温暖化の影響を強く受ける地域のひとつで,IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第4 次報告書では今後100年間で5~6℃の気温上昇が予測されており,この冬道路の利用可能性への影響が懸念される.本研究では,現地のヒアリング調査や冬道路を管理するための基準書を基に,サハ共和国における冬道路の建設,管理,利用の実態について明らかにした.次いで河川の氷と大気との間の熱のやり取りをモデル化し毎日の氷の厚さと積載可能重量の計算を行い,気温上昇が起きた時の使用可能日数を求めることにより,温暖化による冬道路への影響に関する分析を行った.