2012 年 14 巻 4 号 p. 013-023
本研究では,1965年から2000年の5隔年注1)8時点の全国9地域間産業連関表から多地域多部門モデルを構築し,我が国の基幹的な3つの高速交通インフラ(高速道路,高速鉄道,航空)の代表路線を対象として,それらの整備の進展が地域経済や産業立地にどのような影響をもたらしてきかについて定量分析を行った.これにより,今日に至る日本の高速交通インフラ整備は各地域に経済成長をもたらしたが,その恩恵は大都市圏よりも地方地域にあったこと,今日の地域問題である地方圏から大都市圏へ人の流出,大都市圏の経済の集中を生みだすことにもつながったことを説明することができた.