2013 年 16 巻 2 号 p. 043-050
2012年には和製LCC3社が相次いで就航を開始し,今後は日本でもLCCが急速に台頭してくることが予想される.米国では,2001年の同時多発テロによってイールドが急減し,その後に景気が回復しても以前の水準に戻ることはなく,ネットワークキャリア(NWC)の経営は大きな影響を受けたが,この一因はLCCの台頭にあると考えられる.1990年代後半以降の米国のNWCとLCCの収入,費用,運航実績等の推移からLCCの台頭にNWCはコスト抑制の他,小型機数の減少,平均運航距離の延長,利用率の向上などで対応したことが明らかになった.米国での先行事例は日本の航空市場においてNWCとLCCが社会的なコストを最小限にしつつ均衡点へ向かう方策を考察するための前例になると考える.