1999 年 2 巻 1 号 p. 014-025
現在,都市域において発生している様々な交通問題解決のためには,交通施設整備を積極的に進めるとともに,交通需要マネジメント(以下TDM)や公共交通の有効利用も効率的に実施する必要がある.一般に交通サービスの供給側は交通手段ごとに異なる採算性や容量制約を有し,都市規模や交通基盤の配置状況でその需要量が決まってくる.この「供給」と「需要」の両者をうまく結ぶ交通政策が現在求められている.本研究では,まず供給側から見た各交通手段の「成立可能領域」と,需要条件から決まる各交通手段の「有利地域」を理論的かつ実証的に特定した.この結果から,交通施設整備やTDMなどの各種交通政策によって両領域に及ぶ影響を検討し,各種政策の実現可能性を検討した.