地球温暖化防止対策の一環として,自動車関連税をCO2削減の観点から再検討する機運が高まっている.本研究では,自動車関連税の取得/保有/利用段階の税率設定が,車種構成や車齢変化といった自動車市場への影響や,自動車走行量や走行状況の変化といった影響を通してCO2排出を変化させるメカニズムをモデル化し,自動車関連税体系のCO2削減効果の検討を可能とする方法論を開発している.モデルの基本構造は,取得/保有/利用の各段階の税率設定によって税込費用が変化し,これが毎年の車格・車齢別コーホートに影響を及ぼすというものである.本モデルを用いて,燃料税の増徴と高車格車への取得・保有税の累進賦課の併用が効果的であることが示される.
現在,都市域において発生している様々な交通問題解決のためには,交通施設整備を積極的に進めるとともに,交通需要マネジメント(以下TDM)や公共交通の有効利用も効率的に実施する必要がある.一般に交通サービスの供給側は交通手段ごとに異なる採算性や容量制約を有し,都市規模や交通基盤の配置状況でその需要量が決まってくる.この「供給」と「需要」の両者をうまく結ぶ交通政策が現在求められている.本研究では,まず供給側から見た各交通手段の「成立可能領域」と,需要条件から決まる各交通手段の「有利地域」を理論的かつ実証的に特定した.この結果から,交通施設整備やTDMなどの各種交通政策によって両領域に及ぶ影響を検討し,各種政策の実現可能性を検討した.
本報告ではアメリカにおける各種交通調査の最近の動向を紹介することを試みた.1990年代以降,アメリカでは交通調査の大規模化,詳細化,公開データの電子化が急激に進展しており,交通計画改善に果たす交通調査の役割の重要性が再認識されている.本稿では都市圏,都市間,旅客,貨物といった分類軸に従って,今のアメリカにおける交通調査の特徴を整理し,わが国の交通調査のあり方を考察する.
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