1999 年 2 巻 1 号 p. 002-013
地球温暖化防止対策の一環として,自動車関連税をCO2削減の観点から再検討する機運が高まっている.本研究では,自動車関連税の取得/保有/利用段階の税率設定が,車種構成や車齢変化といった自動車市場への影響や,自動車走行量や走行状況の変化といった影響を通してCO2排出を変化させるメカニズムをモデル化し,自動車関連税体系のCO2削減効果の検討を可能とする方法論を開発している.モデルの基本構造は,取得/保有/利用の各段階の税率設定によって税込費用が変化し,これが毎年の車格・車齢別コーホートに影響を及ぼすというものである.本モデルを用いて,燃料税の増徴と高車格車への取得・保有税の累進賦課の併用が効果的であることが示される.