2021 年 23 巻 p. 7-19
本稿では,港湾関連行政手続システム(MSW)の情報表現規約(情報を電子データで表現する方法のルー ル)に関する国際標準化の動向を把握し,我が国の今後の対応方針を検討する.主な成果は次のとおりで ある.( 1)MSW構築を推進する国際海事機関(IMO)における情報表現規約の議論の歴史と,議論の成果 である情報表現規約の指針(FAL便覧)の整理・分析を行い,FAL便覧の内容・検討体制の変遷に一貫性が ないことを示した.( 2)FAL便覧の内容や各国の適用状況等から,拙速に我が国のMSWをFAL便覧に対応さ せる必要性が低いことを示した.( 3)FAL便覧に係る今後の条約附属書改正の議論には留意が必要であり, FAL便覧への配慮が義務化される場合の対応策を示した.