運輸政策研究
Online ISSN : 2433-7366
Print ISSN : 1344-3348
23 巻
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政策研究論文
  • -国際海事機関によるFAL便覧を通した標準化動向分析と我が国システムの対応策の検討-
    飯田 純也, 渡部 大輔, 水野 成典
    原稿種別: 政策研究論文
    2021 年 23 巻 p. 7-19
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2022/10/19
    [早期公開] 公開日: 2020/06/16
    ジャーナル フリー
    本稿では,港湾関連行政手続システム(MSW)の情報表現規約(情報を電子データで表現する方法のルー ル)に関する国際標準化の動向を把握し,我が国の今後の対応方針を検討する.主な成果は次のとおりで ある.( 1)MSW構築を推進する国際海事機関(IMO)における情報表現規約の議論の歴史と,議論の成果 である情報表現規約の指針(FAL便覧)の整理・分析を行い,FAL便覧の内容・検討体制の変遷に一貫性が ないことを示した.( 2)FAL便覧の内容や各国の適用状況等から,拙速に我が国のMSWをFAL便覧に対応さ せる必要性が低いことを示した.( 3)FAL便覧に係る今後の条約附属書改正の議論には留意が必要であり, FAL便覧への配慮が義務化される場合の対応策を示した.
学術研究論文
  • 辰巳 嘉大, 塚井 誠人
    原稿種別: 学術研究論文
    2021 年 23 巻 p. 20-34
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/10/19
    [早期公開] 公開日: 2020/09/24
    ジャーナル フリー
    インバウンド観光の実態把握と政策立案のため,国土交通省は,訪日外国人流動データ(以下FFデータ)を作成した.FFデータは周遊パターンや訪日目的などの多くの属性を記録しているが,その膨大な情報を効果的に政策立案に結びつけるには,先験知識によらず,代表的なパターンを抽出する手法の開発が必要である.本研究では,トピックモデルをFFデータに適用することで,訪日外国人の周遊特性をパターン抽出するとともに,経年分析した.その結果,年次間で共通するトピックのほか,関東や関西を周遊先に含む旅行が様々な地方を周遊するように経年変化する傾向が抽出され,同手法の有効性が示された.
  • -包絡分析法を用いた効率性・生産性評価-
    安達 晃史
    原稿種別: 学術研究論文
    2021 年 23 巻 p. 35-47
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/10/19
    [早期公開] 公開日: 2020/12/16
    ジャーナル フリー
    欧米諸国における空港パフォーマンスとLCCの関係については,正負様々な結果が報告されている.わが国では本邦LCCの参入以降,航空旅客は増加するなか,その関係について不明瞭のままである.本稿は,わが国の空港とLCCやインバウンドとの関係について定量的に分析する初めての試みとして,2010〜16年度における国管理空港の航空系事業と空港全体の活動に関する効率性・生産性分析を行っている.DEAおよびMalmquist生産性指数を用いた生産性分析では,2012年以降,空港全体の生産性が2.65%の平均成長率で成長していることが示された.二重ブートストラップ法を用いた効率性に関する要因分析では,国内線LCCのシェア拡大が効率性を高めていることが明らかとなった.
報告論文
  • -許容リスク・目視外飛行・シングルパイロット複数機運用など-
    中村 裕子, 鈴木 真二
    原稿種別: 報告論文
    2021 年 23 巻 p. 48-55
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/10/19
    [早期公開] 公開日: 2020/06/16
    ジャーナル フリー

    2019年4月23日,アメリカ航空局(FAA: Federal Aviation Administration)は,ドローン(UAS: Unmanned Aerial Systems)による宅配サービスを行うのに必要な航空運送事業認定を,Googleの親会社Alphabet傘下のWing Aviation(Wing)に与えたと発表した.この航空運送事業認定は,米国連邦航空規則(FAR: Federal Aviation Regulations)Part135を満たしたオペレーターとしてPart119の下で発行されたものだ.取得にあたり,Wingは一部の規則の適用除外を求め2018年8月より正式にFAAと協議を進めてきた.FAAにより公開された複数の文章や,FAA主催のシンポジウム等をもとに,我が国での本格的なUAS社会実装へのヒントを期待して,FAAとWingの協議の様子,特に許容しうるUAS運用のリスク・目視外飛行・シングルパイロット複数機運用等についての議論を追ってみる.

  • -中部圏地域間産業連関表(2011年表)による分析-
    紀村 真一郎, 山田 光男
    原稿種別: 報告論文
    2021 年 23 巻 論文ID: TPSR_23R_03
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/10/19
    [早期公開] 公開日: 2020/07/06
    ジャーナル フリー

    中部国際空港は,2005年2月の開港以来,中部圏の航空旅客・航空貨物輸送に大きく貢献している.本稿では,中部国際空港を利用する国際航空貨物の経済波及効果について,国内移動や国際輸送コストのみならず,輸出財の生産過程での中間財購入を通じた地域経済への影響評価を,中部圏地域間産業連関表(2011年表)を用いた産業連関分析を行った.また,中部国際空港を利用する航空旅客に関する経済波及効果との違いについても比較した.本分析により,航空旅客の経済波及効果よりも国際航空貨物の経済波及効果の方が中部圏への影響が大きいことが明らかとなり,国際航空貨物を通じて「ものづくり」中部圏の物流面に大きく寄与していることが示された.

書評
  • ─観光デスティネーションのつくり方─
    矢ケ崎 紀子
    原稿種別: 書評
    2021 年 23 巻 p. 70
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/10/19
    [早期公開] 公開日: 2021/01/19
    ジャーナル フリー
    国連世界観光機関(UNWTO)は,プレイス・ブランディングを「国・地域・都市の政治・文化・経済的発展のための全体論的なブランディングのプロセスであり,観光の重要性を含む」と定義している.本著は,この定義を用いて,観光分野では馴染み深い,旅行目的地へのイメージを高めて旅行者を呼び込むための「デスティネーション・ブランディング」を超えて,プレイス(国・地域・都市)全体のブランディングを推進することが重要であるとの問題意識に基づいている.
  • ─PORT2030の実現のための処方箋─
    星野 裕志
    原稿種別: 書評
    2021 年 23 巻 p. 71
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/10/19
    [早期公開] 公開日: 2021/01/22
    ジャーナル フリー
    国内には,2019年4月1日の時点で,漁港を除いても993もの港湾があり,それらが重要港湾や地方港湾に種別され,また海外との貿易の拠点となるコンテナ港湾やバルク港湾が存在することは,一般的にはあまり知られていない.それでも,海外からのエネルギー資源や食料の海上輸送をはじめとして,港湾の存在無くして,日々の生活や産業は成り立たないことは言うまでもない.本書は,重要な社会資本である港湾の将来計画を扱っている.
  • ─計画,建設,運営─
    正司 健一
    原稿種別: 書評
    2021 年 23 巻 p. 72
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/10/19
    [早期公開] 公開日: 2021/01/26
    ジャーナル フリー
    いうまでもなく鉄道は,限られた空間でも,非常に大量の乗客を安全かつ正確,迅速に輸送できる点で,他の追随を許さない交通手段である.そのため多くの都市で都市鉄道が圏域における基幹的交通機関として大きな役割を果たしてきている.しかしながら,とくに開発途上国では,その都市鉄道が整備されてなかったり,鉄道があっても昔ながらの運行スタイルだったりと,鉄道の持つ力を都市交通問題解決に活かせていない事態が続いていた.都市鉄道を導入,活用しようとしても,その整備・維持・拡充に必要な知識やノウハウが蓄積されていないばかりかその経験さえほとんどない状況であった.これに応えるものとして,国土交通省の「インドネシア,フィリピン及びタイにおける都市鉄道建設及び改良のための共同調査委員会」(委員長:森地茂東京大学大学院教授(当時の肩書)でまとめられた事業化マニュアルをベースとして, KISS-RAIL:Keys to Implement Successfully Sustainable Urban Railwaysが2005年に英語で出版された.
  • 宮崎 耕輔
    原稿種別: 書評
    2021 年 23 巻 p. 73
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/10/19
    [早期公開] 公開日: 2021/01/26
    ジャーナル フリー
    2002年に道路運送法が改正され,地域公共交通に対する考え方が大きく変わった.すなわち,自治体が主体となって,地域の公共交通を考えることとなった.そして,2007年10月に地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(以下,「活性化再生法」と記す)が施行され,道路運送事業に限らず,鉄道,旅客船など幅広い輸送モードを含めた地域交通のあるべき姿の検討とその実現に向けた関係者の連携を促進することが法律に明記された.その後,活性化再生法は,2014年,ならびに2020年11月に一部改正された.2020年11月の改正にあわせて,改正道路運送法,ならびに「地域における一般乗合旅客自動車運送事業及び銀行業に係る基盤的なサービスの提供の維持を図るための私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」の特例も施行された.そのため,これまで以上に,地域ニーズに対応した多様な展開が可能となった.
  • ─貿易・海運データの分析・予測・リスク評価─
    川崎 智也
    原稿種別: 書評
    2021 年 23 巻 p. 74
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/10/19
    [早期公開] 公開日: 2021/02/03
    ジャーナル フリー
    本書はグローバルロジスティクスに関わる大学生・大学院生,港湾・物流・行政関係者,コンサルタントだけでなく,同分野を専門とする研究者までをも対象とする「アジアを中心とする国際物流の実際と研究の手引書」といえる.物流研究は総合力が問われる領域である.①現状に対する理解,②データの特徴に対する理解とそのハンドリング技術,③適切なデータ分析手法の選択とその実践技術,が特に重要であり,本書を一通り読むと,①〜③に係わる示唆に富む知見を広範に得ることができ,同分野における自らの視座を高められる,極めて有用な書である.
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