2006 年 9 巻 1 号 p. 002-014
本研究は,都市内の道路空間において公共交通にプライオリティーを与え,自動車利用抑制を実現する仕組みを,先行事例としてフランスのPDU(都市交通計画)から考察したものである.総論賛成でも各論反対になりがちな自動車利用抑制に向けた都市レベルでの取り組みは,実施方法を策定することが難しいとされてきた.そこで本研究では,PDUが過去の紆余曲折を乗り越えて熟考された仕組みを備えるに至っていることを分析した.またPDUは,我が国の都市交通計画体系に応用可能な公共交通の利用促進を図る都市交通戦略であることを明らかにした.