2006 年 9 巻 2 号 p. 038-045
鉄道プロジェクトの評価手法については,平成9年に費用対効果分析を基本としたマニュアルが整備され,これまで多くのプロジェクトの採択場面で活用されてきた.しかし,近年の公共事業評価を取り巻く環境の変化等を受けて改訂の必要性が高まり,平成17年7月に新しいマニュアルが策定された.本稿は,そのマニュアルにおける評価の基本的考え方とマニュアル策定の経緯について報告するものである.具体的には,マニュアルを策定するワーキンググループでの議題のうち,①総合的な評価への対応,②マネジメント的視点との整合性確保,③費用便益分析手法の改訂について,既存の関連調査・研究やワーキンググループでの議論内容,今後の課題を中心に述べる.なお,マニュアルの内容については付録にその概要を示す.