トランスパーソナル心理学/精神医学
Online ISSN : 2434-463X
Print ISSN : 1345-4501
純粋意識と人間形成
教育学的見方を超えて
中川 吉晴
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 13 巻 1 号 p. 57-74

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抄録

本論文は、従来の教育学的思考の限界を明るみにだし、 それを超える見方を、禅思想、アドヴァイタ・ヴェー ダーンタ、ゾクチェンの諸思想をもとに明らかにしよ うとした。教育学的思考が人間形成の視点にもとづき、生の変化をとらえようとするのに対して、これらの思 想では、変化のない究極的現実がとりあげられる。本 考察では、前者を「世界内」の視点と呼び、後者を「世 界外」の視点と呼ぶことにし、さらに後者の、世界外 の現実を「純粋意識」としてとらえた。議論のなかでは、 禅思想から黄檗、臨済、盤珪を、アドヴァイタ・ヴェー ダーンタからアシュターヴァクラ、シャンカラ、ラマナ・ マハルシ、ニサルガダッタ・マハラジを、ゾクチェン からナムカイ・ノルブをとりあげた。さらに、世界内 と世界外の両方の視点を統合する試みについて議論し、 最後に、世界外の視点を世界内の視点に還元すること の危険性を指摘し、世界外の視点を堅持することの重 要性を論じた。

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© 2013 日本トランスパーソナル心理学・精神医学会
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