トランスパーソナル心理学/精神医学
Online ISSN : 2434-463X
Print ISSN : 1345-4501
死生観に関する教育による生きがい感の向上
飯田史彦による「生きがい論」の応用事例
大石 和男安川 通雄濁川 孝志
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ジャーナル オープンアクセス

2008 年 8 巻 1 号 p. 44-50

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抄録
 本研究では、愛する身近な人の死や人生の試練に直面して絶望 したり、生きる意味を喪失した人々を支援する試みの一つとして、 飯田史彦の提唱する「生きがい論」を用いたスピリチュアル教育 の取り組みの事例を報告する。飯田の「生きがい論」では、人生 においては意味のない現象は生じず、挫折や不運のように感じら れることもじつは順調そのものであるという人生観を提示する。 その背景にある仮説は、死後生仮説、生まれ変わり仮説、ライフ レッスン仮説、ソウルメイト仮説、因果関係仮説の5つである。 対象者に対し、飯田の「生きがい論」を紹介する講義を約90分間 実施し、その講義の前後で生きがい感の変化を検討した。講義は あらかじめ作成されたレジュメを基に、3名の講師が別々に実施 した。対象は大学生608名(男性325名、女性283名)であった。生 きがい感の指標としてCrumbaugh & Maholick(1969)によるPIL テストのPart-A部分を用いた。講義終了後、死後の生や生まれ変 わりなどのスピリチュアルな仮説を信じる割合は、5つすべてに おいて有意に上昇した(Wilcoxon signed rank test, p<0.01)。ま たPILテストの合計点は、講義前で92.7±17.0であったが、講義後 に96.4±17.8と有意に上昇した(p<0.001)。以上の結果は、飯田 の「生きがい論」が生きがい感を高めるツールとして有効である 可能性を示唆している。
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© 2008 日本トランスパーソナル心理学・精神医学会

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