日本では,樹高を切り下げて樹冠全体を縮小させる剪定方法が広く実施されているが,管理費の削減が求められている.本実験は,剪定方法が樹木へ及ぼす影響を調べるために,シラカシの6年生樹に,樹冠を縮小する剪定および上部を保持する剪定の2通りを行い,剪定後1年間の枝,葉,主軸,根系の成長を無剪定の個体と比較した.樹冠を縮小する剪定をされた個体では,早期に枝が萌芽して枝の成長が促進し,葉面積成長の増加およびLMA成長の低下,胸高幹周成長の低下が認められ,根端が枯死したことが示唆され,イラガ幼虫の大量加害をうけた個体もあった.上部を保持する剪定をされた個体では,葉面積成長の増加のみ認められた.しかしながら,主軸下部および根系の現存量には,2通りの方法で有意な差がなかった.この研究は,上部を保持する剪定が,樹冠を縮小する剪定よりも樹木へ及ぼす影響を緩和させ,剪定費用の低減,景観の評価および生育の保護に貢献できる結果を示した.