野外におけるポット実験により土壌改良剤を用いて異なる土壌物理性を設定し,スダジイとクスノキの成長量を比較した.大型プラスチックポットを用いて,山砂のみの対照区(C)と山砂に黒曜石パーライトを40%(体積比)混和した土壌改良区(EP)を設定し,2017年4月から41ヵ月間,生育量を測定した.その結果,両樹種ともにEPでは生育期間中Cよりも根元直径が大きい傾向があり,その傾向はクスノキよりもスダジイで著しかった.EPとCで樹高に明確な差はみられなかったが,一次枝長はスダジイEPでCより大きい傾向があり,一方でクスノキではEPとCの差はみられなかった.同様に葉数はスダジイEPでCよりも有意に多く,クスノキでは差がなかった.最終的な総乾物重量は,スダジイではCよりEPで大きい傾向があり,クスノキではEPとCの違いはなかった.スダジイでは対照区の成長が劣り,土壌改良区の葉数が有意に高まったが,クスノキでは処理による違いはなかった.土壌改良剤の効果は樹種によって異なり,植栽時の土壌物理性がその後の樹木の成長量に影響することが明らかになった.