抄録
インドネシア,西スマトラ州のさまざまな標高の自然林で,ショウガ科7 種とイワタバコ科2種の送粉について調査した。地表に咲くAchasma macrocheilos の赤い長筒花に,極めて長舌の大型のコシブトハナバチ属の1 種Amegilla elephas が訪花した。このハチは地表近くを極めて速く飛翔し,新熱帯のシタパチで見られるような巡回採餌行動をみせた。このハチはこのショウガ科植物のみに花粉と花蜜を依存しており,またこの植物はほとんどこのハチのみによって送粉されていた。ショウガ科3 種(Zingiber puberulum, Grobba aurantiaca, Amomum aculeatum)とイワタバコ科1 種Cyrtandra pendula の黄色(または白)の長筒花は,見回り採餌をする好樹陰性で中型・長舌のケブカハナバチ亜科のハナバチ(コシブトハナバチ属AmegilJa とモモブトコシブトハナバチ属Elaphropoda) によって送粉されていた。短い筒状花をつけるAmomum uliginosumとCyrtandra aff. grandifolia は巡回採餌をするアオスジコハナバチ属Nomia のハナバチによって送粉されていた。ショウガ科の2 種, Homstedtia aff. conica とPhaeomeria fulgens は,赤い直に包まれた堅固な花序に,極めて伸長した長筒花をつける。これらの花は長いくちばしをもったタイヨウチョウ科の烏,コクモカリドリArachnothera longirostraによって送粉されていた。これら烏媒の花は,ハナバチ媒の花よりも糖度の有意に低い花蜜を有意に多量に生産していた。
これらの長舌のハナバチ類は舌の長さによって3 つのグルプに分けられ,それらはハナバチ媒の花の3 つの送粉ギルドに対応していた。それぞれのギルド内では舌の長さの形質置換は見られなかった。ハナバチ媒の種の25% は2 種以上のハナバチによって詰花されていたが,それにもかかわらず,ほとんどの植物個体は1 種のハナバチによって訪花されていた。1400mを越える標高では,マルハナバチがケブカハナバチ亜科のハチに置き代わり,長舌ハナバチの群集構造は単純になっていた。