2012 年 41 巻 p. 43-54
本稿は,東海地方X市のA中学校におけるフィールドワークをもとにして,ニューカマーの子どもたちの学校適応(成績,逸脱行為,学校への愛着)のあり方に影響を与える要因について分析することを目的としている.その際,家族が有する諸資源に注目する.分析の結果は,両親の学歴に見られる教育資源だけでなく,家族に共有される文化的・関係的要素である成員資源が,子どもの学校適応に重大な影響を与えていることを示している.特に両親との同居や信仰が,家族のモラルの基盤や親の権威を強化し,子どもの規律能力を高め,学習への志向に寄与していることが明らかとなった.