2024 年 53 巻 p. 29-39
本稿では筆者たちが東北地方で行ってきた団体スタッフへのインタビューをもとに,地域に根差した性的マイノリティ団体に見られる活動のダイナミズムの一断面を記録し,分析した.団体の活動は「当事者のエンパワメント・居場所づくり」と「地域社会に対する発信・啓発」の二つに整理できるが,実際には両者は截然とは区別できず,発信・啓発の「活動」が「居場所」として機能していたり,「居場所」から「活動」が生まれたりといった循環が存在することが明らかになった.またクラフティヴィズムという概念を用い,「活動」と「居場所」をつなぐ存在としての「手作業」に注目する重要性も指摘した.
地元での「顔出し」が難しい当事者に代わり,アライが発信や啓発などの活動を行うことが「広義の支援」となることも指摘した.その上で,アライにとっても性的マイノリティに関わる活動が「居場所」となるケースがあり,単純な「支援する/される」とは異なる,「ともに戦い,抗う」関係性が存在することを明らかにした.