社会学年報
Online ISSN : 2187-9532
Print ISSN : 0287-3133
ISSN-L : 0287-3133
特集『地域での支援』を考える
地方の「周辺」から見る性的マイノリティ団体の活動
まだ見ぬ当事者の生を支える実践
大森 駿之介
著者情報
キーワード: LGBTQ, 地方, 地域社会
ジャーナル フリー

2024 年 53 巻 p. 41-54

詳細
抄録

 本稿では,「地方」とされる地域の内部にある違いが,性的マイノリティの生活を支える活動といかなる関係にあるのかという問題意識のもと,東北地方で活動する団体――性と人権ネットワークESTOとColor Calibrationsの「地方周辺地域」での活動に着目する.大都市や地方中核都市とは異なり,LGBTQの人権課題への関心の希薄さや当事者の不可視化が強まる当該地域で,各団体がいかに性的マイノリティ当事者のニーズの発見,充足に関わり,特定の性のありようで排除されない支援の場を作りあげようとするのかを考察する.

 中核都市を拠点とするESTOでは,主に啓発活動から周辺地域の当事者にアプローチする方法がとられ,それまでの活動実績や県内施設などの資源を使用しつつ,当事者を取りまく「支援者」を「支援」する実践がなされていた.これらは,当事者がニーズを表明しやすい地域の創出につながりうる,SOGIに配慮した支援の場の形成を促していた.一方,周辺地域を拠点とするColor Calibrationsでは,交流会など居場所の可視化によって当事者のニーズに直接働きかける実践が確認された.団体の認知度が低く資源が少ない条件下で,戦略としてなされた地域事業への「相乗り」的な活動は,市民団体や専門職との意図しない出会いにつながり,時には当事者のニーズを満たしつつ,心的安全性が保たれる場をLGBTQ団体以外でも作り出す効果をもたらしていたことが明らかになった.

著者関連情報
© 東北社会学会
前の記事 次の記事
feedback
Top