芝草研究
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冬季における芝生屋根緑化の断熱・蓄熱効果に関する実験的研究
田 禾浅井 俊光近藤 三雄
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2012 年 40 巻 2 号 p. 141-144

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抄録
芝生屋根緑化によって冬季に室内の暖房効率を高めることができるか否かについて明らかにするため, GRC製の約0.32m3の空間面積を有する模擬実験装置を作成した。これに, 日本芝と西洋芝を植栽した実験区と無植栽区の3実験区を設置し, 冬季の屋外環境下と人工環境気象室内にて土壌層や模擬実験装置内部の温度変化を測定した。
その結果, 日本芝区, 西洋芝区共に無植栽区よりも暖まりにくく, 平均温度は低かったが, 温度の変動幅については小さく, 特に夜間やヒーターユニット作動停止後の温度低下を抑えることが可能であった。また, 日本芝区, 西洋芝区共に植栽層や土壌層が熱を奪う性質が強く, 断熱材としての利用には不向きであり, むしろ, 冬季の太陽放射を積極的に受け蓄熱することによって, 室内の温度を高く保つことができるものと推測される。さらに, 冬季の室内の保温という観点からは, 冬枯れをする日本芝の方が土壌水分量や蒸発散量が大きくなり過ぎず効果的であった。
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© 2012 日本芝草学会
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