芝草研究
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短報
パッティンググリーンと果樹園由来のスズメノカタビラの種子生産に対するエネルギー投資
岡崎 麻衣子阿部 拓也小笠原 勝
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 40 巻 2 号 p. 145-147

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抄録

スズメノカタビラのグリーンへの適応性を解明するために, グリーン由来系統と果樹園由来系統の履歴の異なる2つの系統を用いて, 種子生産に対するエネルギー投資率を比較した。
その結果, 果樹園由来系統の種子生産へのエネルギー投資率 ((総種子数/個体)/(茎葉乾燥重/個体), (総種子重/個体)/(茎葉乾燥重/個体)) は, いずれも出穂30日後では, グリーン由来系統の値を上回ったが, 出穂60日後では, 両者の値が近似し, 出穂90日後では逆に, パッティンググリーン由来系統の値が果樹園由来系統の値を大きく上回った。このことは, 種子へのエネルギー投資率は出穂後の比較的に間もない時期では, 果樹園由来系統でやや高いが, 出穂から時間を経過した時期では, パッティンググリーン由来系統の投資率が著しく高いことから, スズメノカタビラのパッティンググリーンへの適応戦略の一つとして, 種子生産により多くのエネルギーを投資することが考えられた。

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© 2012 日本芝草学会
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