芝草研究
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芝生地におけるtriazine系除草剤の作用特性休眠期処理の場合
竹松 哲夫近内 誠登竹内 安智
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1981 年 10 巻 2 号 p. 139-143

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抄録
休眠末期の芝生地 (コウライシバ) でsimazineとatrazineの挙動を調べた。その結果は以下のように要約される。
(1) 自然放任状態で枯死葉の多い芝生地ではsimazineは散布後これらの茎葉にほとんど付着し地表面に落下しなかった。枯死葉を除去したり芝の刈高を低くしてから散布するとサッチ層まで落下したが, その下の床土までは移動・分布がみられなかった。Atrazineではsimazineほど芝草茎葉への付着が多くなかったが, 枯死葉を除いたり芝草の刈高を低くすると地表面への落下量が多くなった。地表面に落下したものはほとんどサッチ層に存在していたが, サッチ層を除いてから散布すると床土の表層2.5cm位まで分布がみられた。
(2) 100l/ (10a) の水量でsimazineを散布した場合, 茎葉への付着が多くその後の降雨でも容易に落下しなかった。200~400l/10aの水量では直接地表面へ落下する量が100l/10aの場合よりも多かった。展着剤を加用すると散布水量が多くても茎葉に付着するようになり地表面に直接落下する量が減少した。Atrazineでは芝草茎葉への付着量はsimazineほど散布水量や展着剤加用の影響は大きく受けなかったが, 散布水量が多くしかも展着剤を使わない方が直接地表面に多く落下した。
(3) サッチ中におけるsimazineとatrazineの除草力はいずれも床土土壌中の約1/3であった。これら2剤の除草力は殺菌によりサッチで3倍, 床土では2倍高まった。
(4) サッチへのatrazineの吸着量は床土の場合よりも8倍大きかった。しかし吸着により不活性化される量は比較的少なく容易に脱着して除草力を発現できることがわかった。
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