1.この実験は芝地圃場におけるリゾクトニアラージパッチの人工接種による発病条件と, その発病に及ぼす管理作業の影響について行ったものである。
2.春に病原土を100
g/m2として接種を行い, 芝地圃場でのこの病害の発病とその後の定着について実験を行った。その結果, その春に発病が見られたが, 秋では見られなかった。しかし, 翌春に再び発病が見られるようになった。
3.発病と病原菌量との関係を見るため, 病原土, 50, 100, 200
g/m2について接種を行った。その結果, 接種量の少ない方が発病は大となり, これらの間に直接の関係はないように思われる。
4.秋から春にかけて, 月, 1~2回, 病原土200
g/m2の接種を行い, 発病しやすい時期について実験を行った結果, 秋と春の時期が発病しやすかった。そして, 秋から冬にかけてのいずれの時期の接種とも春になって発病が見られるようになった。
5.張替直後とターフになった芝に病原土200
g/m2を接種し, 両者の発病の難易について実験を行った結果, 張替直後の芝では接種したすぐその秋に発病が見られ, また, 翌春の発病および伸展も大きくなった。
6.病原菌を含むサッチを除去した場合発病が軽減されるか否かを見るため, 予め病原土50
g/m2を接種し, 菌糸を伸展させておいた芝地にバーチカルモアをかけ, 病原菌を含むサッチの除去を行ったが, この作業を行った方の発病が大となった。
7.バーチカルモアをかけた芝に病原土200
g/m2を接種し, バーチカルモアと発病の関係について実験を行ったが, バーチカルモアをかけた場合明らかに発病は大きくなり, 次の発病の時期への影響も大きくなった。
8.目土と発病との関係を見るため, 病原土を200
g/m2として, 接種後目土を入れた場合, 目土後接種した場合, 目土を入れないで接種した場合について実験を行った。その結果, いずれも目土を入れた場合に発病が大きい傾向を示したが, とくに, 接種後目土を入れた場合には発病が早く, 大きかった。
9.穴あけ作業と発病との関係について, 病原土を200
g/m2として実験を行ったが, 穴あけ作業を行わなかった場合と同じ程度の発病が見られ, 穴あけはこの病害の発病とは直接関係はないようであった。
抄録全体を表示