本研究は，教師用デジタル教科書の活用に関する研究である。デジタル教科書が普及に向けた状況下にあって，表現教科と呼ばれ実材を扱うことを主とした図画工作科・美術科における，デジタル教科書のあり方とその活用についての可能性と課題について明らかにすることを目的としている。研究方法としては，本研究の前提として実施した教科書研究センターによる調査研究や，新井紀子，安東恭一郎，金政孝らの文献や論文をふまえ，既に授業でデジタル教科書を使用している教員7名（6地区，7校）を対象に聞き取り調査を行った。調査内容からは，教師用デジタル教科書の内容や構成に対する教員の期待値とともに，教科で育成する資質・能力とデジタル教科書活用の関連性について掲載されるコンテンツに依存する傾向があることが示された。また，教室のICT環境の整備の必要性についても示唆する結果となった。
