美術教育学研究
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イングリッシュ・バカロレア体制下における美術教育
直江 俊雄
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2019 年 51 巻 1 号 p. 225-232

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抄録

英国において学校の実績を評価する指標として2010年から導入されたイングリッシュ・バカロレアは,中等教育修了一般資格試験における生徒の達成度を,英語,数学,歴史または地理,理科,言語,の5つの科目で評価するものであり,学校における美術学習の機会削減につながるのではないかとの懸念が広がっている。本論文では,制度改革の経緯を検討し,英国で実施された3つの調査結果を比較するとともに,1994年から2017年にかけての学校現地調査の結果を踏まえて,5科目を重視したこの教育改革が美術教育に与える意味について明らかにした。美術教育の価値が教科間の自由競争原理の中で試されようとしている英国の現状をとらえることは,美術教育が社会に対してどのようにその役割を主張し,その存立と拡充を図るかという本質的な課題に対して,比較教育の観点から考察の機会を与えるものである。

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© 2019 大学美術教育学会
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