美術教育学研究
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造形ワークショップの実践を通した子育て支援における「重層的な関係」の構築・III
―川崎市市民ミュージアムにおける「アートツール・キャラバン2017」の実践から―
大泉 義一
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2021 年 53 巻 1 号 p. 57-64

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抄録

本研究は,造形ワークショップにおいて構築される参加者の「重層的な関係」の構造原理を分析し,それへの参画の意味を明らかにすることで,子育て支援の一手段としての造形ワークショップの妥当性を検討する実践研究の第3報である。第1報では,「重層的な関係」を構築する造形ワークショップの主体間の相互関係のあり様を明らかにし,第2報では,それら主体間の相互関係を促すファシリテーションの具体と実践原理を明らかにした。本稿においては,第2報までの知見を援用して実践に取り組み,そこでのファシリテーションが参加者に対してどのような教育的意義をもち得たのか評価している。その結果,子育て支援の一助となる意義として,「楽しさ」が位置付くことを見出している。さらにその「楽しさ」が,プログラムや活動からもたらされるだけでなく,日常とは異なる人々や場や空間との関わりによってもたらされるものであることを明らかにしている。

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