本研究の目的は,2020年度から全面実施された新学習指導要領で,小学校英語の早期化・教科化に対応した指導のあり方を,中学1年生の意識調査から探ることであった。そのため,「外国語活動」から「英語」の授業へという学習過程が同じである旧学習指導要領の中学1年生720人を対象に,2学期の11月下旬に学習経験や学習状況に関する意識調査を実施した。その結果,学習困難の開始時期は中学校入学後,学習困難事項の第1位は「テストで点が取れない」であり,英語の授業や学習を理解するには家庭学習の習慣化が重要であることが分かった。また,幼稚園・保育園時代と小学校時代の学校以外での英語学習の有無は,中学校での英語の理解度に幾分関係はあるが絶対的なものではなかった。小学校での英語の学習時間数と学習内容にも大きな違いはなかったため,今後特に5・6年生対象に効果的な英語の指導を展開するには,通常の授業での工夫はもとより,学習事項を定着するために家庭学習を有機的に組み込むことが必要であると示唆された。