抄録
管理栄養士は高い専門性が求められつつも,十分な労働条件や社会的地位が得られているとはいえない.本研究は,栄養士・管理栄養士の社会的認知の現状と課題を明らかにすることを目的とした.管理栄養士17名を対象にインタビューを行い,得られたデータをテキストマイニングKH Coderで分析した.その結果,「給食の献立を作る人」,「栄養指導のスキルが低く,医療福祉職の国家資格として認知されていない」,「口から食べる方法を理解していない」,「一般の方との接点も少なく,仕事が見えにくい」,「一人職場で自己研鑽の機会が少なく,社会貢献度が低く,他の専門職から認めてもらえない」の5クラスターが抽出された.
調査結果を踏まえた筆者の結論では,栄養士・管理栄養士は健康な生活者および他の専門職との接点が少ないこと,栄養指導のスキルが低いことが社会的認知の低い現状を招いていることが示唆された.