富山大学医学会誌
Online ISSN : 2758-819X
Print ISSN : 1883-2067
原著
日本語版神経心理検査RBANSの信頼性と妥当性
松井 三枝笠井 悠一長崎 真梨恵
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2011 年 21 巻 1 号 p. 31-36

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抄録
 本研究は日本語版神経心理検査RBANSの信頼性と妥当性の検討を目的とした。折半法による信頼性では371名の標準化データによって検討した。再検査信頼性については,30名の健常者に29~314日をおいてRBANSを2回行い,その安定性を検討した。さらにフォームAとフォームBの等価性を検討するために102名の健常者に順序をランダムにして2検査を行った。また,基準関連妥当性を検討するために40名の健常者にWAIS−R/WMS−RとRBANSを施行した。結果,折半法および再検査法双方の信頼性をまとめると,RBANSの全ての下位検査および指標は信頼性が十分高いことが示された。さらに,RBANSの2つのフォームは互いに等価なことが示唆された。基準関連妥当性を検討したところ,代表的な2つの神経心理検査WAIS−RおよびWMS−Rの類似の下位検査とRBANSの下位検査は高い相関を示し,RBANSはより簡便ながらも,十分な妥当性を備えていることが明らかになった。今後日本語版の臨床応用が期待される。
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© 2010 富山大学医学会
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